INTERVIEW

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1st Album 『Good Morning Dreamer』 SHIN インタビュー

 
ソロとして復活したSHINが1stフルアルバム『Good Morning Dreamer』をついにリリース。イベントではギターをかき鳴らしながら歌うという男らしいパフォーマンスでファンの度肝を抜き、本作でついにギターロックとして、ラウドミュージックとして猛烈にエモーショナルで美しい楽曲たちの全貌を明らかにした。バンド解散から約2年。どん底だった毎日。日々、まるで修行僧のようにストイックなまでにひたすら己とだけ向き合うなか、身を削りながら生み出した作品たちは、自ずとSHINそのものの人生を映し出していった。そのなかから、自分が120%納得ができた9曲を収録した今作について、SHINがその背景にあるどん底の日々とともに語る。
 
 
「自分のやりたいことができないんであれば、もう音楽は辞めようと覚悟してました」
 
————最初にソロが本格始動するまでのSHINさんについて教えてもらえますか?
 
「はい。まずは、自分がそれまで抱え込んでいたものすべてをそぎ落としてみようと思って、ひたすら自分に向き合ってたんです。その間、やってたことというのはシンプルで。“作曲”、“ギターの練習”、“筋トレ”、以上です(微笑)。それだけを毎日やってました」
 
————バンド解散後は所属していた事務所も離れたんですか?
 
「そうです。それで、どこにも所属せず本当に一人になって。そこで“自分が本当にやりたいことは何だろう”と考えたとき、僕はストレートなギターロックをやりたいと思ったんですね。それをやってるときはどんな自分なんだろうなと思ったときに、僕はギター弾きながら曲を作ってるから、自分でギター弾きながらやりたいなと。それをやるためにいまの僕には何が足りないのか‥ギターをもっと弾けるようになろうというので練習しだして。たまたま僕が行ってたジムは、洋楽のロックチャンネルがずっとかかってるところだったんですね。そこに毎日音楽を聴きに行って。作曲の一環として音楽を研究しに。そのついでに筋トレして」
 
————筋トレよりも音楽を聴くことが目的だったと。
 
「ええ。知らない曲がいっぱい流れるから。バンド時代は歌がある音楽はほとんど聴かなかったんですよ。ストレスになるんで。でも、自分一人になって自分が作曲するとなったとき。音楽を聴いてると“あ! 僕こういう音楽が好きだ”とか、自分が好きなものが分かってきたんですね」
 
————筋トレしながら。
 
「そうですね。筋トレでは自分がやったことないことに一つ挑戦してみようと思って、体を極限まで絞ったんです。食事も抜いて」
 
————精神的な部分だけじゃなく、肉体的にも自分が抱えていたものをそぎ落としてみたということ?
 
「そうです。いまはもう普通に食べてますけど。極限まで絞ってた頃は、ベンチプレスとか95kg上げたりして。ジムの人に“ボディビルの大会でも出られるんですか?”といわれてました(笑)」
 
————SHINさんがそうやって極限まで自分を追い込んでた1番の理由はなんなんですか?
 
「単純に、僕がやりたいことを認めてくれる場所がなかった。それだけです。自分がやりたい音楽性、表現したいスタイルがいまの時代の流れに沿ってないといわれて、結局どこもダメになりました」
 
————SHINさんならバンドのお誘いもあったのでは?
 
「ありましたよ。でも、自分のやりたいことが明確にありすぎたんで、そこは歩み寄れないなと思って断りました」
 
————そこで、自分がやりたい音楽性や表現スタイルを変えようとは思わなかったんですか?
 
「そこは死ぬか生きるかで。自分のやりたいことができないであれば、もう(音楽は)辞めようと思ってましたから」
 
————そこまで?
 
「はい。中途半端な形で戻るぐらいなら僕はここで終わろうと。だから僕はその気持ちがブレないように、ひたすら自分自身と向き合って」
 
————ああー。それで全ての余分なものをそぎ落として。いわば修行僧みたいになっていた訳ですね。
 
「ええ。だから、作曲も毎日やって。2000メロディーは書きましたからね」
 
————何も決まってないなか、自らそこまで自分を追い込みまくっていたんですね。
 
「そうでもしないと自分がおかしくなりそうだったんですよ。“自分の存在価値ってなんだろう?”“僕、そんなに価値ないのかな?”ってどんどん考えていくから。本当に身を切り刻まれる思いでしんどかったです。夢に向き合うってこんなに辛いんだって思いましたね。そのときにできた曲が「jack the ripper」です。殺人鬼をタイトルにしたのは、夢って殺し屋だ、殺人鬼だなと当時思ったからです。下手したら夢に押しつぶされて、殺されちゃいかねないですから。自分は(そこで)折れたくなくて。なんとか立ってましたね」
 
————なんで折れずに立っていられたんだと思いますか?
 
「曲を信じてたからだと思います。自分の曲は最高だと思ってるからです。リスナーはこれが好き、あれが好きってあるかもしれないけど、僕はアルバムに入れた曲は120%自分で納得いってて、全部が好きだから。こんなに愛おしい曲たちを認めてもらえない訳がないと思ったら、折れずに立ってられました」
 
————支えてくれたのは自分が作る曲だった。
 
歌は支えにはならなかったんですか?
「歌なんて僕よりもっと上手いヤツはいっぱいいるじゃないですか。声質には恵まれてるな、ぐらいは自分でも思ってますけど。歌は別に上手い下手じゃないですから。下手でも伝わればいい訳ですから」
 
————SHINさんの音楽表現の中心にあるものは、今は歌ではなく楽曲制作。そこはバンド時代とガラッと変わった部分ですね。
 
「そうですね。昔は僕がやらなくても他のメンバーが作ってきてくれて、そこに僕がメロをのせれば曲になるじゃんって思ってた。正直なめてたと思いますね、音楽を。でも、自分で曲を作っていくうちに、自分を表現できる! 曲ってこんなに自分の気持ちがのるものなんだというのに気づきました」
 
 
「ゴールデンボンバーの歌広場淳さんがいなかったら、僕はEX THEATER ROPPONGIで終わってたかもしれない」
 
————では、そうやって修行僧のように自分を追い込んでいたSHINさんが、いまの事務所に入ることになった経緯を教えてもらえますか?
 
「はい。ずっと事務所が決まらないなか、僕はもうライブをやるしかないなと思ったんです。ライブを観てもらって、それで誰の目にも止まらなかったらもう諦めようと覚悟を決めて。それで、前の事務所にいた頃に知り合いだった人にライブ制作をやってくれないかとお願いして。それでやったのが、去年のEX THEATER ROPPONGI(“SHIN 1st LIVE 20161224「約束」”)だったんです」
 
————ああ、そうだったんですね。
 
「それで、EXは今まで僕に関わってくれてた人みなさんにお声かけをしようと。そのなかにゴールデンボンバーの歌広場淳さんがいたんです。連絡をしたら、その日は予定が入ってて行けないといわれたんですね。そのときに“事務所とか探してらっしゃいます?”といわれたので“えっ! 探してます”と応えたら“よかったら1度ウチに話に来てみませんか?”といってくれて。それで、EXの前に事務所の会長とお会いしたんです。事務所のレコーディングスタジオで。そのスタジオを見て“なんて素晴らしい環境が整ってるんだろう”とまず思いまして。すぐに“僕、ここでやりたいです”と言いました(笑)。それで、会長にEXを観に来てもらって。その数日後にお会いして、契約させていただきました」
 
————これから歌広場さんに足を向けて寝られないですね(微笑)。
 
「“アー写下さい。部屋に飾るんで”って言いましたから。僕からしたらそういうレベルですよ。歌広場さんに連絡しなかったら、EXで終わってたかもしれないですからね」
 
————これでやっとSHINさんは暗黒時代、どん底から抜け出せた訳ですか?
 
「そうです。本当に地獄でしたからね。その頃の1番の楽しみは、ジムに行くときに玄関の扉を開けるじゃないですか? 天気がいいというだけですげー幸せだったんですよね。ジムまで歩いてるときに道端で紫陽花を見つけて幸せだなと思ったり。天気とか道端の花とか、いままで関心がなかった些細なことに気づけて幸せを感じた。その経験は大切にしていきたいなと思います」
 
————どん底時代に他に気づいたことは?
 
「僕には音楽しかないなということ。それぐらい、音楽が好きだというのがわかりました。
僕は音楽しかなかったから、死ぬ気で向き合ってこれたし。そこで死ぬ気で向き合っていれば、ダメでも自分のせいだと納得できる。アルバムに「WEAKEND」という曲があるんですけど。“望まない終わりでも笑っていられます”というのは、そういう気持ちを描いたものなんです。本当にこのアルバムはそういう地獄にいるときに書いた歌詞ばかりだから、もう2度とこういうのは書けないと思います」
 
————SHINさんの身を削った人生を綴った歌詞ばかりなんですね。
 
「そう。自分が必死に生きてきて吐き出す言葉。そういうものが一番伝わると思ったんで」
 
 
「ようやく僕も目覚められた。自分の納得いく形で。という意味で『Good Morning Dreamer』」
 
———歌詞の中には日本語で書かれたものと英語で書かれたものがありましたけど。
 
「英詞なのは、別に英語が歌いたいからじゃなくて、その曲に合った気持ちいい響きが英語だったというだけ。カッコつけて英語で歌ってる訳じゃないんです。僕は曲を作るとき、メロディを一番大事にしてるから、そのメロディが一番気持ちよく聴こえるのが日本語じゃないと思ったら英語を入れる。それだけです」
 
————アルバムからは「jack the ripper」と「dirty hurry」が先に配信でリリースされましたが。そのときに公開されたライブ映像を使った「jack the ripper」のリリックビデオはかなり衝撃を持って届いてきました。
 
「あの曲が一番死にそうなときに書いた曲だから、いま聴いてもぐっときますね。この曲は最後まで救いがないんですよ。最後の“かりそめの自由”というフレーズは、自分がやりたいことがやりたくても出来ない時は時間があるからめっちゃ自由じゃないですか? でも、これは自分のやりたいことじゃないな、望んでない自由だっていうことをいってるんです」
 
————アルバムのタイトルはこの曲の冒頭のフレーズから?
 
「そうですね。ようやく僕も目覚められたな、自分の納得いく形でということで“おはようございます”と。“Good Morning Dreamer”と書いたのは、ジムに行くときに部屋のドアを開けて天気いいときのことです」
 
————ラストに収録された「2015.4.29」。この曲だけ異色なナンバーでしたが、これを入れようと思ったのは?
 
「前のバンドは人生においていろんな経験ができたし、とても大切な思い出なんですよ。タイトルはそれが終わった日。いま僕を知ってくれてる人は、きっとその日を分かってくれてる人が多いと思うんで。それに対して、僕が一番忘れちゃいけないなと思って曲にしました。この曲だけ妙にあえて自分とはかけ離れたサウンドで、苦手なJメロを書いたんですよ。歌い方も曲が呼んでる歌い方にして。そうしたのは、前のバンドの頃から知っているファンみんなに届けたかったからです」
 
————歌詞のなかに出てくる“約束”とは?
 
「前のバンドの最後のライブのMCで“これからは生きるために歌うんじゃなくて、歌うために生きていきます”と言ったんです。それを貫いてきた自信だけはあるんですよ。これからもそうあり続ける。その約束を僕は守るよということです」
 
————普通の人は触れたがらないのに、あえてこうして自らけじめをつけていくところは男らしいなと思いました。
 
「おそらく、僕自身が一番過去にこだわってるんですよ、たぶん。周りの人、ファンの人たちは僕以上に僕の未来を信じてくれてるのに。だからこういう曲が必要で。ここからちゃんと未来だけを考えていきたい。その未来のことだけ考えて書いた曲が「just going true side」。これが今の自分の希望をすべてつぎ込んだ曲なんです。まだ僕の音楽を知らない人たちにこの曲が届いて、ライブに来てくれる楽しみとか。本当にここからSHINが始まっていくんだなというのを表現した希望がつまった未来の曲。この曲はバッキングギターも僕が弾いていて。人生初のギターレコーディングをやりました(微笑)」
 
————「just going〜」の希望に包まれて、明るくカラッと抜けのあるサウンドとは対照的なのが「TERRITORY」。
 
「これはV-NATIONに出たときにやった曲のなかの1曲です。まだ作曲しだした頃の曲なんで、自分的にはこの曲だけ若いなという気がします」
 
————「4444」という曲はインストで、タイトルも気になったのですが。
 
「ライブが始まるときのSEなんですけど。「4444」というのはエンジェルナンバーで、幸せな数字の羅列らしいです。僕にとってライブは幸せな時間の始まりなので、幸せな名前にしたかったんです。曲調はゴリっとしてますけど(微笑)」
 
————では9月から始まるツアー<SHIN LIVE TOUR 2017”Good Morning Dreamer“>。こちらはどんなものになるんでしょうか
 
「過去があって今があるという感謝と、でも一番見せたいのは未来の希望。だから「2015.4.29」はこのツアーが終わったらしばらく歌わないでいようかなと思ってます。なので、前のバンドのファンで、今どうなのかのぞきに来てもらってもいいし、見た目が好みとかでも全然いいんで(笑)。見た目がどうとかを払拭するぐらい、曲やライブでいいと思ってもらえるステージをやるんで遊びに来てください」
 
————でも、SHINさんがギターロックをやるというのは予想外でした。
 
「みなさんにそう言われるんですよ。もっとポップかと思ったって。これが僕の表現したい形です。ちょっと戸惑うかもしれないですけど」
 
————歌い方もワイルドですしね。
 
「そうですか? こっちが僕の本来の歌い方なんですよ。逆に昔の方が僕は違和感がありましたから。こんなに平坦でいいのかなって」
 
————ああ、そうだったんですね。こういう熱くてワイルドな方が本当のSHINさんの姿。
 
「そういうのもダイレクトに出てます、今やってる音楽には。元々こういう顔で、涼しい顔してるんで、あんま苦労してなさそうって思われちゃうんですよ。この見た目のおかげで(笑)。でも、身を削ってやってますよ。そうやって音楽やってる今のほうが“生きてる”っていう気がします」
 
ライター:東條祥恵